読んだ本の数:5
読んだページ数:1908
ナイス数:181


壮大なSF。オーストラリア移住の顛末が怖かったです。アボリジニの男性が登場することで、かつて西欧人に追いやられたアボリジニと地球人の運命を重ねてしまいます。下巻へ。
読了日:05月29日 著者:劉 慈欣


史実をもとにしたフィクション。明治維新の頃から太平洋戦争の頃までの樺太アイヌと彼らに関わる人々の物語です。強いものが弱いものを支配するのが正しいとされた時代に、土地を追われ疫病で倒れたアイヌをはじめとする少数民族ですが、彼らを研究した学者たち、南極観測隊に参加したアイヌと樺太犬など、壮大な物語でした。記録に残っていない消えた民族は多いのかもしれません。現代は当時に比べればマイノリティが生きやすくなっているのでしょうか。「違うもの」を受け入れることが人にとって困難であるのだろうということも感じました。
読了日:05月21日 著者:川越 宗一


外国人の在留資格とか入管とか、ニュースで耳にしても正直あまり関心がありませんでした。小説で普通の家族の物語として読むことで、とても身近で私達が考えなくてはならない問題なのだと迫ってきます。例えばアメリカはアメリカで誕生すれば親の国籍に関係なくアメリカ国籍が与えられる出生地主義であるのに対し日本は血統主義であることからも外国人にとって日本は敷居の高い国なのかもしれません。「やさしい猫」はスリランカの寓話ですが、この小説のテーマとリンクします。外国人やマイノリティとどうつきあっていくか考えさせられます。
読了日:05月13日 著者:中島 京子


爽やかな表紙ですが内容は重いです。問題を抱えた家庭が多い地域の小学校に赴任して6年生の担任となった若い女性教師の物語。虐待やネグレクトなど家庭に問題のある児童の対応だけでなく、かつて勤務していた教師が殺される事件も起こり、しんどい物語ですが、殺人事件の真相が知りたくて一気読みでした。物語は円満に終わりましたが、それでも児童たちの今後を思うと不安ですし、教師だけで対応できる問題ではないよなぁと気持ちが重くなります。
読了日:05月03日 著者:藤岡 陽子


東日本大震災で津波にのまれて被災した日本製紙石巻工場の再生を追ったノンフィクション。震災の描写は想像を絶するものでした。ほとんど報道されることのなかった火事場泥棒や人の心のささくれだった部分の描写もあり、災害の大きさを思います。本題は工場再生のために立ち上がった人々の物語です。リーダーの統率力、社員や協力会社の皆さんの働き。こういうひとりひとりの人が日本の産業を支えているのですね。野球部の活躍も嬉しい話題です。様々な種類の紙が多くの方の手によって生み出され製造されているということに改めて感謝します。
読了日:05月01日 著者:佐々 涼子
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